イランのアリさん

イランのアリさん 11月30日(土)

そうですネ。こうしましょう。
なるべく人の多いところがいいですから・・・・。
う~ん、私はどちらかと言うと人ごみよりも静かなところの方が好きなんですけどネ・・・。まッ、この際、イランで人の多い所、バザールなんてどうでしょうか。

テヘランのバザールで大声で「アガイエ・アリィ~!」と叫びましょう。イヤイヤ、叫んだことにしましょう。うん。
早い話が、「アリさ~ん!」とネ。

このときは「アガイエ・アリ」ではなく「アガイエ・ァリィー」というように、「ア」ではなく「リ」にアクセント・マークをつけて、しかも「ァリィー」と少々伸ばしましょう。
イランでは名前だけでなく後ろにアクセントを置いた言葉が多いんですヨ。

それはともかく、叫ぶとですネ。どうですかネェ~。
およそ、半分近くの人が「今僕のこと呼んだ?」とばかりに振り向くのではないでしょうか。

かく左様に、イラン人の男性は、「アリさん」が多いのです。
「アリ」「モハメッドアリ」「アリレザー」「ゴーラムアリ」・・
蟻さんだらけなんですネ。

その一人、「アリレザー」の話。
私は彼の名字を知らない。そう言えば聞いたことがない。
彼は、とある絨毯屋で見習いをしていましたが、その内親方に認められ、独立をしたのです。

彼は、私を見つけるといつも満面に笑みをたたえ、チャイを勧めてくれます。
チャイが終わると何処からともなく、絨毯を持って来るのです。
どうやら「この絨毯、品質は最高だ。しかも安い。買っておけ」と言ってるようです。
首を右前から左後ろに振るのです。「カモン」と言う仕草ですネ。

私が「ナー、ラゼムニスト」(いらない)と言うと、満面の笑みがたちどころに消え去り、最愛の恋人に振られた男のように、肩を落とし、寂しそうな顔をするのです。

反対に、OKでもしようものなら、笑みに包まれた顔をより一層くしゃくしゃにして、右手の平を胸に当て一礼するのです。そして、「俺はこの絨毯を彼に売ったんだ」と周りの人に嬉々として報告です。

本当に愛すべき人、「アリィレザアー」





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